はじめ直教、のち金之丞、外記、六郎と称す。名古屋城三之丸東御門内に生まれる。父は間宮延太郎正統。天保十三年に家督を継ぎ、給知三千石。弘化四年、年齢わずか十七歳で用人、嘉永三年大番頭、万延元年年寄列。元治元年前藩主十四代慶勝が征長総督として出征するにあたり、正方は先鋒として広島へ行き、講和に尽力。慶応元年年寄加判。第二次長州征伐の軍が起こされるにあたり、前藩主十五代茂栄(玄同、茂徳)は先手総督に任命されたが、辞表を提出、紀伊藩の徳川茂承に代わった。このとき、正方は茂栄に従い、再征を阻止しようとした。同三年十月、慶勝が尊王派を率いて京都で活躍しているとき、名古屋で幼主十六代義宜を補佐した。同四年(明治元)一月、戊辰戦争が勃発するや、最初のうちは噂がとびかい、旧幕軍の敗北は正確には伝わらなかった。正方は監察吉田知行を慶勝のもとへ急行させたが、このとき知行は、正方の「佐幕派の渡辺新左衛門らが幼君の義宜を擁して江戸に合流しようとするクーデターが発覚した。ただちに帰城して鎮圧されたい」との密書をたずさえていた。正万は名古屋城に入って義宜を護衛し、クーデターを未然に防いだ、という。密書を見た慶勝は、一月十九日清須に至り、藩老成瀬正肥と密議し、翌二十日帰城し、二の丸の門を閉じ、二の丸御殿で会議を開いたのち、渡辺新左衛門ら三人を、朝命によって死を賜うとして斬首、その後六日間にわたり十四人を処刑した。「間宮六郎履歴書」(贈位申請のため作成したもの)は、この事件に関し、「執政某曰く、恐クハ濫刑事を誤ン。請フ審議セン。六郎進テ曰、今日何ゾ審議ヲ要セン、予名古屋城留守タリ、奸党幼主ヲ挟テ反セント謀ル、罪跡明白ナリト」なる問答を記している。尊王派が京都にあり名古屋では少数派であったため疑心暗鬼にかられて流言を利用したのか、先手をうって藩論を強引に討幕に統一しようとしたのか、佐幕派のクーデターの痕跡があまり認められぬところをみると、正方の行動にはどこか無理があったように思われる。いずれにせよ、いわゆる青松葉事件の仕掛人が正万にあったことは間違いないようである。正万はこの年、慶勝に従い、美濃太田にあって内外の作戦を担当し、八月三総管所が設けられるや、東方総管(のち東方郡宰、春日井郡地方が領域)に任命され、農兵を編成し政務にあずかった。明治二年一月執政となり、総管を兼任した。また、権大参事ともなっている。明治二年賞典禄百五十石を永世分与され、廃藩置県後、徳川家の相談役をつとめた。明治三十五年十二月二十六日、七十二歳で死去。(もろ三百藩家臣人名事典)。法名は普門院殿松誉双天浄六大居士。大正二年十一月贈正五位。
　墓碑銘は「普門院殿松誉攣天浄六大居士」