人物総覧 い 尾張藩 儒学者 教育家

名前 市野天籟
よみ いちのてんらい
生年 文政十三年(一八三〇)
没年 明治十九年四月二十三日(一八八六)
場所 名古屋市千種区
分類 儒学者・教師
略歴

 名は靖、字は節夫、天籟、又無絃琴堂と号す。通称は俊蔵、尾藩の小吏安井氏の子なり。八歳父に従ひて始めて唐詩選の句読を受け、九歳渡辺某に就きて読書、算術、書法を受く。歳十五叔父の籍を継ぎて、市野氏を冐し、側組同心となる。公務の余暇、鵜飼蘭斎に従学し、傍ら剣法、柔術、謡曲、太鼓、挿花、点茅、三舷等の技を学ぶ。歳二十にして一旦感憤して盡く邸事小技を廃し、沢田眉山に従遊すること五年、眉山没して阿部松園、秦松洲の教を受く。後佐藤牧山、鷲津毅堂に学び、又詩を森春涛、奥田大観に学ぶ。天籟学を好むの名公庁に達し、慶応元年八月、小納戸詰格に経でられ、内庫の図書を掌り、近臣の授読を兼ね、明治元年二月小納戸話役懸格に、十二月小納戸詰組頭格に進み、累りに俸を増して十三石三口伝を賜ふ。二年藩主の家従となり、後愛知県師範学校の教師となる。天籟文筆に長じ、兼ねて詩及び書を善くす。明治十九年四月二十三日没す、享年五十七、無絃院琴堂日靖居士と法諡す。著す所「評語箋」「従軍百絶」「天籟餘響」等あり。(名古屋市史)
 墓碑銘は「無絃院琴堂日靖居士」。

市野天籟の墓
ゆかりの人物リンク
名前 関係 補足 墓所 写真
阿部松園 江戸時代後期の儒者、藩政の改革 名古屋市千種区 見あたらず
岡本柳南 門人 明治・大正期の画家 名古屋市千種区 合葬??
奥田大観 明治時代の儒家、奥田桐園養子 名古屋市千種区
佐藤牧山 幕末〜明治時代中期の儒学者、尾張藩校明倫堂督学 東京都新宿区
沢田眉山 江戸時代後期の儒者、書家、明倫堂教授 名古屋市千種区 見あたらず
秦松洲 江戸時代後期の儒者 名古屋市昭和区 見あたらず
森春濤 幕末・明治期の漢詩人 東京都府中市
鷲津毅堂 江戸時代後期の尾張藩士、儒学者、尾張藩校明倫堂督学、維新後登米県権知事、官吏 東京都台東区
鵜飼蘭斎 幕末の儒学者 名古屋市千種区
  
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